雷が運営するサイト・蒼雲草のブログページ。日々のことを書き綴る予定。あくまで予定。
研究室の「ウィッチの語源と語意」にある「人狼に変身する能力を持つ魔術師」という一節は、ゲーム「RED STONE」のウィザードを念頭に置いてたのだけど、この「ウィザード」を、英語版では「Magician」というと知った。ウィザードと、マジシャンなど「魔術師」を意味する言葉の区別のあいまいさを、再認識したのだった。
いまさら『図解アイヌ』を読んだのだけど、「北海道につたわる"本物のイペタム"の伝説は2例だけ」って書かれていて、「穂別や上川のイペタムだけじゃなく、網走や桂恋のイペタムも"本物のイペタム"ではないか?」と首を傾げている。流血沙汰を起こしたという直接描写が無いから、除外したのかしら。
アイヌがつたえる人喰刀イペタムの伝説の、話のパターンをまとめてみた。この他に、イペタムが、光りかがやく全裸女性の姿に変わるという話もある。『図解アイヌ』は、革や獣の骨を食う、持ち主をあやつって人を斬る、洞窟で行方不明になる、海に捨てられるというパターンについては、言及していない。
革を食うイペタムは、岩知志の伝説に登場する。ユーカラ「妖しい刀の昔話」が伝える、光りかがやく全裸女性の姿に変わったイペタムも、革を食う。
獣の骨を食うイペタムは、桂恋の伝説に登場する。
多くのイペタムは、ひとりでに飛び回って人を斬るが、持ち主をあやつって人を斬るイペタムもある。神居町台場のイペタムは、帯びる者の心に宿って人を殺させ、捨てても戻ってきて、夜になると「斬れ斬れ」と叫んだ。
桂恋のイペタムも、手にした者は、自分の意志と関係なく敵を切って切りまくるという。
また、『図解アイヌ』が参考文献として示す『サルウンクル物語』が伝える沙流のイペタムは、妖刀・村正に関連づけられ、「刀を使う心得がどんなにない人でも、この刀を抜いたら、必ず人を一人や二人殺してしまう」と説明されている。
洞窟で行方不明になったイペタムは、『アイヌ伝説集』や『コタン生物記 (3)』の網走の伝説に登場する。フリー退治のため持ち出されたイペタムは、洞窟で、持ち主ごと消えた。
『図解アイヌ』は、『伝説集』も『生物記』も参照してフリーカムイを立項してるけど、網走のイペタムについては言及してない。
『図解アイヌ』は、イペタムは干魚や小石を食うといい、参考文献『アイヌ伝承と砦』も、桂恋のオボコロベ(妊婦切り) が干し魚を食うとする。
鶴居の伝説に登場する桂恋のイペタムも、干し魚を食うとされる。
桂恋や鶴居の伝説に登場するイペタムと、ユーカラに登場する、光りかがやく全裸女性の姿に変わったイペタムは、最後は海に捨てられる。
桂恋や鶴居の伝説では、イペタムが海に捨てられたのは明治のこととされており、わりと最近の話だったりする。
>宇田川洋, 増補改訂アイヌ伝承と砦, 北海道出版企画センター, 2005
>近江正一, 傳説の旭川及其附近, 旭川郷土研究会, 1931
>川上勇治, サルウンクル物語, すずさわ書店, 1976
>金田一京助, ユーカラ概説, 楡書房, 1942
>更科源蔵, アイヌ伝説集, みやま書房, 1981
>更科源蔵, 更科光, コタン生物記(3), 法政大出版社, 1977
>チカップ美恵子, 森と大地の言い伝え, 北海道新聞社, 2005
>土屋宗達 編著, 日高村五拾年史, 日高村, 1956
>北海道教育庁 編, アイヌのくらしと言葉(1), 北海道教委, 1989
>雷, 人喰刀イペタムについて, 蒼雲草, 2022.8.12, 2025.8.16
Twitter(現X)で、魔法使いが持つ「杖」について、英語の使い分けが話題になっていたのでメモ。
魔法使いは杖を持つことが多いけれど、杖は英語でstaff、rod、wand、caneなど様々に呼ばれる。
個人的には、スタッフは人丈、ワンドは腕の長さ、ロッドはそれらの中間というイメージ。
ケインは、長さではなく、歩行を補助するという機能で分類されると思っていた。
ためしにダンジョンズ・アンド・ドラゴンズを参照してみると、長さや機能について、もうすこし具体的な説明がされていた。
杖の長さについて、D&D5eでは、スタッフの長さはおよそ5~6フィート(約152.4~182.9cm)、
ロッドはおよそ2~3フィート(約61.0~91.4cm)、ワンドはおおむね15インチ(38.1cm)と設定されている。
ケインは、やはり歩行を補助するための杖。いわゆる仕込み杖は、ソード・ケインといわれることが多いように思う。
>A scepter or just a heavy cylinder, a magic rod is typically made of metal, wood, or bone. It’s about 2 or 3 feet long, 1 inch thick, and 2 to 5 pounds. (Gray, Carter, Sims & Wilkes, 2014, p.139)
>A magic staff is about 5 or 6 feet long. Staffs vary widely in appearance: some are of nearly equal diameter throughout and smooth, others are gnarled and twisted, some are made of wood, and others are composed of polished metal or crystal. Depending on the material, a staff weighs between 2 and 7 pounds. (前掲書, p.140)
>Lose a Foot or Leg. Your speed on foot is halved, and you must use a cane or crutch to move unless you have a peg leg or other prosthesis. You fall prone after using the Dash action. You have disadvantage on Dexterity checks made to balance. Magic such as the regenerate spell can restore the lost appendage. (前掲書, p.272)
>Gray, S. F., Carter, M., Sims, C. & Wilkes, J. C. eds.『Dungeons & Dragons 5th edition Master's Guide』(Renton, Wizards of the Coast, 2014)
「なんか創作に使えるネタねえかな~」とネットをあさっていたら、英語版Wikiの「ペチュニア」のページに、「マヤ人やインカ人は、ペチュニアの香りには冥界の怪物や霊をはらいのける力があると信じていた」という記述を見つけた。*1
ただし「要出典」のタグ付き。
編修履歴をたどってみると、要出典タグが付けられたのは2023年8月。
いくつかの別サイトでは、Wikiの丸写しか、すこし文言を変えただけの文章も見つけた。
エルサレム・ポストの記事でもほぼ同文を載せていて*2、どうやらネットとマスコミによって出典不明な情報が広まりつつあるというのが、現状らしい。
さらにWikiの履歴をさかのぼってみると、少々内容が異なる以前のバージョンでは、2018年5月に出典が付記されている*3。
ただし、出典として示されているURLをたどると、当該文章はその後のページ更新によって削除されてしまったらしい。*4
結局のところ、当該記事の出典は不詳で、2017年6月にWikiに唐突に記載されたのが、初出と思われる。*5
1. The Maya and Inca believed that the scent of petunias had the power to ward off underworld monsters and spirits. Their flower-buds were bunched together for magical drinks. (Wikipedia>Petunia)(2026.2.28)
2. Jerusalem Post>Science>Siegel-Itzkovichisraeli, J.「Israeli Scientists Discover a Key Gene Behind the Scent of Petunia Flowers - study」(2025.3.24 15:17, 15:25更新)(2026.2.28)
3. The Mayan and Incas believed that petunias have the power to chase away (with their odor) the underworld monsters and spirits. Their flower-beds were bunched together for magical drinks. According to the folklore, Petunias will thrive where there is positive energy and will not grow in places where there is negativity. (Wiki>Petunia, 2018.5.22 2:47)(2026.2.28)
4. Godwin, S.「How to Plant Petunias」(J. Parker's>Blog>How to Plant Petunias, 2021.6.17)(https://www.jparkers.co.uk/news/complete-guide-how-to-plant-petunias)(2026.2.28)
5. The Mayan and Incas believed that petunias have the power to chase away with their odor the underworld monsters and spirits. Their flower-beds were bunched together for magical drinks. According to the narrative, petunias can not thrive in place of strong negative energy. (Wiki>Petunia, 2017.6.23 00:35)(2026.2.28)
覚え書き。イギリスという国名に「おとぎの国」という意味合いを持たせる表現が、グリム童話にあったと思い、出典を探していた。1810年版の『白雪姫』で、物語の舞台が「天使の国」(エンゲルランド)と呼ばれていて、これがドイツ語としては、英国をさす「エングラント」とほとんど同じとみなせる、と。
>小沢俊夫『素顔の白雪姫: グリム童話の成り立ちをさぐる』(光村図書出版, 1985, pp.183-184)